眠れないことは怖くない
『上手に眠ることができない』こんな症状で悩む方が急増しています。
なかには何年ものあいだ睡眠導入剤を毎日のように服用するといった方も。
でも安心してください。
自律神経を整えることができれば、深い眠りにつけるようになります。
この記事では、その理由についてくわしくお話していきます。
『ストレス』は睡眠の大敵
睡眠に悩みを持つ患者さんと話をすると、多くの方が共通のことで悩んでいます。
医学的な表現をすると『副交感神経(熟睡のスイッチ)がスムーズに入らない』ことによる睡眠の質の低下です。
なぜスイッチが入らなくなってしまうのか?それは。
- 不規則な生活
- 暴飲暴食
- 年齢を重ねたことによるもの
- さまざまなストレス
これらが引き金となり、自室神経のバランスが低下。
交感神経がいつまでも活発に作用し、夕方から夜にかけて徐々に活発になる副交感神経の活動が高まらない状態によるものです。
そしてストレスが自律神経のバランスを乱しているケースが非常に多い。
言い換えると、睡眠の質が低下している最大の原因は『ストレス』なのです。
厚生労働省保健局による調査でも、次のようなデータが。
・睡眠の質に満足できなかった人:34.7%
※1,344人への調査結果
このように良い眠りが出来ず悩んでる方が多いのですが、睡眠の質は、本当に謎の多い分野です。
かりに毎日7時間きちんと寝ても『なかなか疲れが取れない』という方も多いという現実。
ぐっすり眠れない要因は人それぞれですが、やはり大きな原因はストレス。
私自身も、気になることや悩み事があると、よく眠れません。
たとえ眠れたとしても、睡眠の質は良くありません。
なぜならストレスがある状態の身体は、寝ている間もこんな状態に
交感神経が興奮状態
➡全身の血流が悪くなる
➡寝ている間に修復されるはずの細胞が修復されず
会社員時代、営業職についていた私は、月末や大型の商談の前は極度の緊張状態で、睡眠の質はボロボロ。
しかし、そのタイミングをすぎると、特になにもしなくとも熟睡できました。
それくらいストレスと睡眠の関係は大きいものなのです。
しかし、普通に生活していればストレスがゼロという生活は、まずありえません。
なので大切なのは、ストレスがあっても熟睡できる方法をいくつかストックしておくこと。
この記事では、これまで約3万人の不調と向き合い、今まさに50代となり眠りが浅くなっている私自身が。
実践している方法や感じていることをくわしくお話していきます。
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睡眠は『質』にこだわろう
睡眠に悩むあなたなら、すでにご存じだと思いますが『理想の睡眠は7時間前後』
この根拠となるのが、こんな実験データです。
アメリカで約100万人を対象に行われた『睡眠時間と健康の関係』
➡6.5~7.4時間睡眠の方の死亡率が、もっとも低い
日本で約10万人を対象に行った調査
➡アメリカと同様のデータ
これらの結果から『7時間睡眠がよい』とされています。
しかし、睡眠時間の適正値は人それぞれ。
例えば、小学生と60代の方が、同じ7時間睡眠が身体に良い。
こうならないのは、何となくイメージがわきますよね。
一般的には、子供の頃には長い時間の睡眠が必要。
そして年齢を重ねるごとに、必要な睡眠時間は短くなります。
もちろん毎日7時間ぐっすりと眠れるにこしたいことはありません。
しかし、私もそうですが多くの方が、現実はなかなか難しい状況だと思います。
例えば普段は12時前にベッドに入っている人が、今日は会社で送別会。
帰宅が12時少し前という時などは、通常と違った生活サイクルになるので、熟睡のスイッチが入りづらくなります。
なのでこの記事では7時間という時間ではなく、深い眠り(ぐっすり眠れた感)という『睡眠の質』を高める方法をお話していきます。
寝すぎはNG
寝すぎは睡眠不足と同じように、心や身体を不調にしてしまいます。
アメリカのマサチューセッツ大学の研究データによると。
- 7時間睡眠の人:糖尿病患者さんが、もっとも少ない
- 5時間以下の睡眠:発症率が2.6倍
- 8時間以上の睡眠:3.6倍に跳ね上がる
つまり睡眠時間の長い短いと、糖尿病の発症率には大きな関係が。
また、中高年以降の長すぎる睡眠は、次のような研究データも。
・記憶力と意思決定能力の低下
・心疾患やうつ病の圧勝率をアップさせる
さらに厚生労働省が発表した『健康づくりのための睡眠指針2014』
でも、9時間以上ベットにいる人は、9時間未満の人よりも途中で目を覚ましやすく、これにより血流を悪化させてしまう可能性があるとされています。
週末に寝だめをするという方は、注意したいですね。
ぐっすり眠れるマットレスをお探しの方は、こちらも参考にしてみてください
良い睡眠は『寝入りの90分』を意識しよう
あなたがもし、ぐっすり眠りたいのであれば『寝入りの90分』を意識してください。
眠りにはノンレム睡眠(脳も身体も眠っている状態)とレム睡眠(脳は起きているが身体は寝ている状態)の2つがあります。
- ノンレム睡眠/li>
- ➡レム睡眠
- ➡ノンレム睡眠
- ➡レム睡眠
と、私たちはこのサイクルを何回かくり返しながら眠っています。
そして寝入りの90分、つまり寝る時のスタートはノンレム睡眠です。
このノンレム睡眠のとき、いかに深く眠りに入れるか?
これこそが、質の良い睡眠(短時間で疲れが取れる)睡眠なのです。
なぜなら、スタートのノンレム睡眠がスムーズにならないと、その後の睡眠サイクルが乱れやすくなります。
そして睡眠リズムが崩れた身体は、副交感神経が優位になりづらく、寝ている間も興奮状態。
さらには成長ホルモン(疲れた身体を修復する働き)の分泌も低下。
結果として、寝ても疲れが取れない状態となってしまいます。
成長ホルモンは、夜の10時~深夜2時の間に多く分泌されるとされていましたが。
最近の研究では、寝入りの90分の間に、もっとも分泌されるのでは?
というデータもあるようです。(確定の事実ではありません)
ぐっすり眠りたいのであれば、勝負は『寝入りの90分』です。
ここでしっかり深い眠りに葉入れれば、たとえ短時間睡眠でも、睡眠のの質は向上し、翌朝は元気に起きられることが多くなります。
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あなたにとって最適な睡眠時間を知ろう
ショートスリーパーという言葉を聞いたことがありますか?
短時間の睡眠でもいつも元気、そんな方は実際にいらっしゃいます。
反対に長時間寝ないと疲れが取れないという方も。
このように、最適な睡眠時間は、人によって大きな違いがあります。
いわゆるショートスリーパーとロングスリーパー。
この違いは遺伝子からくるとされています。
(遺伝子検査で自分がどのタイプか調べられますが、約50万円ほどかかってしまいます)
ショートスリーパーの方は、長時間寝てしまうと、調子を崩してしまいます。
反対にロングスリーパーの方は、短時間睡眠だと、パフォーマンスが大幅ダウン。
しかし両方のタイプに共通するのは、寝入りの90分がもっとも大切だということ。
あなた自身がどちらのタイプか?を見極めながら、寝入りの意識を忘れないようにしましょう。
寝る前の習慣が、よい睡眠をつくる
これまで何度もお伝えしていますが、寝入りの90分が睡眠の質を左右します。
ですので、ぐっすり眠るためには、寝る前のストレスを少なくすることが大切なのです。
例えば、解決できない問題や心配事などを抱えたままベットに入ると、頭の中は興奮状態。
なので、すぐに深い眠りに入れません。
そこで、ストレスの少しでも解消した状態でベットに入り、寝入りをスムーズにすることが大切になります。
理屈は分かったけど、具体的にはどうすれば位いいの?
そんな声が聞こえてきそうですね。
これから紹介する方法は、私も実際に行っている方法であり、これまで約1万人くらいの患者さんにも実践いただき、効果がある内容のものです。
◆寝る前に次のことをするようにしましょう。
・翌日着る洋服を決めてしまう
➡翌朝に余裕をもたせる
・朝食の準備をしてしまう
➡あとは温めるだけの状態に
・翌日の資料などの準備
➡寝る前に余計なことを考えないように
ポイントは、翌朝起きてから、あまり考えたり、準備したり、をできるだけ少なくすること。
そして寝る前に余計なことを考えないようにすること。
こうするとで、朝に心の余裕ができて『さぁ今日もがんばろう』という爽やかな目覚めになるのです。
朝のよい目覚めそして深い眠りには、寝る前の習慣が大切になります。
ぐっすり眠れるマクラをオーダーメイドで作ってみませんか?
寝る前の熱いお風呂は逆効果
あなたは、寝る直前にお風呂に入りますか?
また、熱いお風呂がお好きですか?
実は、お風呂の温度や入浴のタイミングには、大きな関係があります。
入浴で身体の芯まで温まった状態(深部体温が高い)のままベットに入ると、寝入りの90分は深い眠りになれません。
これは腸の温度(深部体温)がスーと下がった状態の時に、深い眠りにつく。
こんな身体のシステムによるものです。
一日の疲れを癒し、熟睡するためには、次の2つの事を意識するようにしましょう。
・入浴は就寝の1時間前までにすませる
・寝る前に熱いお風呂やサウナに入らない
どうしても寝る直前に入浴となってしまう場合は、シャワーや足湯にするようにしましょう。
就寝前の熱いお風呂やサウナは、深部体温を急激に上げ、交感神経の働きを活発にしてしまいます。
一日の終わりには、副交感神経を優位な状態にして、熟睡スイッチが入りやすくしましょう。
熟睡するための入浴法のポイントは5つ。
- 心臓から遠い部分(手や足)から、かけ湯をする
- 39~40℃の湯船に数分(2~3分)くらい、首までつかる
- みぞおちまでの半身浴で5~10分程度つかる
- 就寝の1時間前までに入浴をすませる
寝る前のちょっとした工夫が、熟睡につながります。
寝る前は必ずトイレへ
しっかりとした睡眠をするには『寝る前は必ずトイレに行く』こんな習慣が大切になります。
若い方にはイメージしにくいと思いますが、年齢を重ねるにつれ、夜中にトイレで何度も目が覚めてしまう。
こんな方が少なくありません。
目が覚める状態が長く続くと、不眠や睡眠障害につながりやすくなります。
こうした夜間頻尿を防ぐためには、次のようなことを意識しましょう。
- 寝る前には、必ずトイレに行く/li>
- 締め付けの強い下着はさける(膀胱を圧迫しないようにするため)
- カフェインやアルコールは寝る3時間前は飲まないようにする
このようなことを意識するだけで、寝入りの90分がスムーズになります。
夜中にトイレで目が覚めてしまうと、ノンレム睡眠➡レム睡眠というサイクルが崩れ、たとえトータルで7時間以上眠れたとしても、疲れが取れずらい状態となってしまいます。
睡眠時間よりも、寝る前の環境を整える。
こんな意識を大切にするようにしましょう。
寝具には、こだわりすぎない
枕やマットレスといった寝具で眠りの環境を整える。
こんな考えの方は、とても多いです。
私の院でも患者さんから『どんな枕を選べばいいですか?』などの質問をよくいただきます。
しかしながら、私の結論は『寝具はこだわりだすとキリがない』です。
たしかに、まくらやマットレスが合わず、熟睡できないというケースもあるでしょう。
では、どんな寝具があなたの身体にピッタリか?
これは、なかなか判断が難しい問題です。
また、40代の頃にピッタリだった枕が、60代でも同じとも限りません。
また寝具選びにこだわり過ぎアレコレ悩み続けると、それ自体がストレスとなってしまいます。
なので寝具は『ベットに入った時に気持ちいいと感じられるか』
これくらいの感覚で選ぶことをオススメします。
あなたがベットに入ったとき。
・気持ちいいなぁ~と感じられる寝具
・締め付けの少ない下着やパジャマ
こんな環境を意識するようにしましょう。
寝具やパジャマなどは、高価なものにこだわる必要もありません。
ポイントは『気持ちいい』です。
そんな基準でいれば、この終わりのない寝具選び問題が解決し、ストレスない睡眠が手に入りやすくなります。
さらに、寝る姿勢はどうすればいいのか?
この問題を気にする方も非常に多いです。
医学の教科書上では、仰向けがよいとされていますが、これはあくまで机上の空論。
横向きの方がリラックスできるという方もいます。
無理して横向きがストレスとなり、寝入りが悪くなってしまうのは本末転倒。
その日の体調や疲れ具合によって、あなたの一番リラックスできる姿勢でベットに入るようにしましょう。
体内時計をリセットしよう
寝入りの90分をスムーズにするためには、体内時計をリセットすることが大切になります。
厚生労働省が発表している『健康鉱づくりのための睡眠指針2014』
こちらの資料には、こんな記述があります。
気象後、太陽の光を浴び、体内時計のリズムがリセットされてから15~16時間後に眠気が出現する。
さらに光による体内時計のリセットが毎朝行われないと、その後、眠りにつくことのできる時刻が少しづつ遅くなる。
こんな研究データも。
ですので朝目覚めたとき、太陽の光をあびることを意識して欲しいのです。
これは雨の日も曇りの日も変わらず行ってください。
とにかく朝起きたらカーテンをあけて空を見上げ、外の光を感じるようにしましょう。
人間の身体には、体内時計が備わっています。
この時計は、ほぼ24時間周期で新陳代謝やホルモンの分泌をスムーズに行えるようプログラムされています。
そしてここがポイントなのですが、実はこの時計、24時間より少し長いサイクルになっています。
なので、微調整をしないと毎日体内時計が少しづつズレてしまいます。
そしてこのズレが大きくなると、ホルモンの分泌や新陳代謝が不調となって自律神経を乱します。
では、この体内時計のズレをどう調整するのか?
それが先ほど紹介した『朝目覚めた時に太陽の光を浴びる』ことなのです。
もしあなたが、勤務時間の関係などで、どうしても太陽が出ている時に起床するのが難しい場合。
人工の光でもいいので、出来るだけすぐ部屋を明るくするようにしましょう。
時計を調整する機能は、明るさと大きな関係があるため、あかるくするだけでも効果があります。
さらに余裕があれば、起き抜けにコップ1杯の水を飲み、5分でもいいので、外の空気に触れて身体を軽く動かすようにしましょう。
こうすることで、さらに体内時計がリセットされやすくなります。
不眠症を解消する15分昼寝
昼食を食べた後に強い眠気が。。。
あなたも経験があるかと思います。
これは、なまけているわけでも、気合が足りないわけでもありません。
そもそも人間の身体が午後2時ごろに眠くなるような構造なんです。
そして最近の研究では、昼間に短時間の昼寝をし、心と身体に休息を与えることで、仕事や家事の効率が上がることが分かってきました。
そこで正しい昼寝のコツをいくつか紹介しましょう。
- 若い人は15分、高齢者は30分程度の睡眠を心がける/li>
- 横にならずイスに座った状態で寝る
- 昼寝の時間をいつも一緒にして、生活のリズムを整える
このようなことを意識しながら、上手に昼寝をしてみましょう。